蜩(ひぐらし)は他のどんな虫の声よりも哀しげに響くのか?
▼8月も半ばを過ぎ、セミの大合唱もそろそろ最終楽章かなと思うと、
少し哀しい気がする。
あさのあつこさんが連作集「ぬばたま」(新潮社)のなかで書いている。
「蜩(ひぐらし)は他のどんな虫の声よりも哀しげに響く声だ。
カナカナカナ 蜩の声を聞いていると、
全てには終りがあると分かってしまう」
花見川沿いの遊歩道(サイクリング道路)が
最近のボクのお気に入りの散歩コース(1時間コース)。
花見川大橋から上流に向かって花島大橋までは鬱蒼と繁る林もあり、
この時期、セミが生の最後の輝きをかまびすしく競い合っている。
ある一角にどういう訳か、蜩(ひぐらし)のシマがある。
そして、ここを通りすぎるとき、あさのあつこさんの言葉を反芻する。
でも、どうしても「どんな虫の声よりも哀しげに響く」とは思えない。
百歩下がって「他のセミよりは哀愁を帯びている」かな、、、。
まぁ、多数の蜩に他のセミの鳴き声も混じり、
さらにはカラスの勝手な濁声も重なり合ってくるので、
「全てには終りがある」なんて雰囲気ではないのも確かだ。
森閑としたなかで、一匹だけの蜩の哀しい調べを聴いてみたいと思う。