蜩(ひぐらし)は他のどんな虫の声よりも哀しげに響くのか?


 ▼8月も半ばを過ぎ、セミの大合唱もそろそろ最終楽章かなと思うと、

  少し哀しい気がする。


  あさのあつこさんが連作集「ぬばたま」(新潮社)のなかで書いている。

  「蜩(ひぐらし)は他のどんな虫の声よりも哀しげに響く声だ。

   カナカナカナ 蜩の声を聞いていると、

   全てには終りがあると分かってしまう」


  花見川沿いの遊歩道(サイクリング道路)が

  最近のボクのお気に入りの散歩コース(1時間コース)。

  花見川大橋から上流に向かって花島大橋までは鬱蒼と繁る林もあり、

  この時期、セミが生の最後の輝きをかまびすしく競い合っている。

  クマゼミアブラゼミの勢力が強いのだが、

  ある一角にどういう訳か、蜩(ひぐらし)のシマがある。

  そして、ここを通りすぎるとき、あさのあつこさんの言葉を反芻する。


  でも、どうしても「どんな虫の声よりも哀しげに響く」とは思えない。

  百歩下がって「他のセミよりは哀愁を帯びている」かな、、、。

  まぁ、多数の蜩に他のセミの鳴き声も混じり、

  さらにはカラスの勝手な濁声も重なり合ってくるので、

  「全てには終りがある」なんて雰囲気ではないのも確かだ。


  森閑としたなかで、一匹だけの蜩の哀しい調べを聴いてみたいと思う。

最高に輝いた二人の最期に乾杯!

 ガーボル・ロホニ監督「人生に乾杯!」はハンガリーが舞台。少額の年金では暮らしていけない老夫婦が銀行強盗に走るという、基本的には暗いストーリーだが、周囲の反応や銀行強盗の素人っぽさがが温かみのある笑いを誘うし、人生の最期に輝きを取り戻して自爆していく老夫婦の姿に救いがある。 

 最初はヨボヨボの老人にしか見えなかった81歳の夫が、長年こよなく愛した車で銀行強盗に踏み出してから、イキイキ、颯爽としていく。妻もまた、逃避行をともにするなかで、夫との絆を改めて確認することで輝きを取り戻していく。

 死を覚悟したうえで、不幸な事故で幼くして亡くなった息子の命日までの残り少ない日々を、二人手を取り合って精一杯輝いて散ろうとするのだ。

 「俺たちに明日はない」のボニー&クライドは、草原に座り談笑しているときに警官隊の乱射を浴びる。「人生に乾杯!」はガソリンを積んだ車で自ら警官隊が道路封鎖する大型トラクターに激突していき、炎上死する。ともに壮絶なラストだが、ボニー&クライドには、カッコよく銀行強盗を続けてきた分、ある種の爽快感もあった。81歳・70歳の老夫婦の最期には感慨深い哀愁が漂う。

 彼らの強盗によって死者が出たわけでもなく、それほど社会に迷惑をかけたわけでもない(逆に年金に不満を持つ多くの高齢者の共感を得る)。ならば、自らの行動で最高に輝いた二人の最期に乾杯だ!

死と引き換えに歓声が欲しかったのだ!

 ノアの三沢光晴が試合中の事故で亡くなった二日後、ミッキー・ロークが昔の栄光を背負ってリングに立つレスラーを演じたダーレン・アロノフスキー監督「レスラー」を見た。

 絶頂期から20年。スーパーでバイトをしながら未だリングに立っているランディ(ミッキー・ローク)。リングと言っても場末の小さな会場。メインエベンターを務めているものの、それは過去の栄光によるものだし、試合の中身もキワもの的になっている。それでも、観客がエキサイトするよう、自己の肉体をツールにしてプロレスを演じていく。ここまでやるかみたいな、凄まじいファイトの連続だ。

 しかし、老いと常用していた筋肉増強剤が確実にランディの肉体を蝕んでいた。心臓発作に見舞われ、やむなく引退を決意するが、ランディの居場所はない。娘には愛想をつかされ、愛の存在を確かめようとしていた相手にも振られ、スーパーの仕事にもプライドを持てない。ランディが寄って立つ所はリングしか残されていない。

 そして、20年前の宿敵との再戦に応じる。それは、心臓に爆弾を抱え込んだランディにとって死を意味する。ランディが死と引き換えに求めたものは、エキサイトした観客の歓声に包まれることだったのだと思う。この歓声は、いくら金を積んでも買えるものではない。己の肉体とガッツをリングで強烈に弾けさせることでしか得られないものだ。

 死にゆくランディの意識を、沸きあがる歓声が包み込む。確かな男の生き様がここにある。

最強家族には地球の重力なんてなくなってしまうのだ!

 森淳一監督「重力ピエロ」は、映画化ばやりとなっている伊坂幸太郎の原作。ストーリーは、原作にほぼ沿って展開する。

 泉水と春の兄弟。母親が連続レイプ魔の手にかかり春を身ごもる。父親は自分の子どもとして育てようと決める。成長していくに従って自分の出生の秘密を知っていく春。そして、春は出所して近くに戻ってきたレイプ魔に復讐すべく、レイプ魔が行った犯行現場をなぞって放火をしていく。恐らく、父親が自負する「最強家族」の一員としての誇りを持って。

 レイプ、放火、殺人と悪質犯罪がストーリーの核であるにもかかわらず、「最強家族」の結びつきに救いがある。
 ラスト、春は、母親がレイプされた昔の家にレイプ魔を呼び出し、放火して殴殺する。泉水は、自首しようとする春を何とか思いとどまらせようとする。昔、一家四人でサーカスのピエロの空中ブランコを見たときに、母が「大丈夫、あんなに楽しそうなんだから、落ちるわけないわ」と春に言い、父も「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんてなくなる」と応じたのを思い出し、ピエロがメイクや衣装で重力を感じさせないのと同じように、深刻なことを陽気に、楽しく語ることで、最強兄弟の兄として弟への重力をなくそうとする。そして、父親は二人に「俺に隠れて何かやっただろう」と聞く。何もしていないと二人は答える。父親は笑いながら春を見ていう。「おまえは嘘をつくとき、手で唇を触るんだ。俺に似て嘘をつくのがヘタだな」。「俺に似て」とさりげなく、当たり前のように言うのだ。まさに、ピエロが重力をなくしてしまうように、深刻なことを陽気に語るのだ。そう、最強家族には地球の重力なんてなくなってしまうのだ。

 いずれにしろ、春のしたことが間違っていたのか、正しかったかなんてことは、春が死ぬまで分かるわけはないのだ。伊坂ワールドにおいては、世界の成り行きなんて、「神様のレシピ」によって初めからすべて決まっているのだから、、、、。

イチゴの花、今が見ごろ

anytime18teen2006-04-23


イチゴの花です。

花びらに囲まれた実(子房)が熟し、赤くなって収穫です。
例年、4月下旬から採れはじめるんですが、今年はちょっと遅いみたいです。


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ロケットに花が来た!

anytime18teen2006-03-22


写真はロケット(ルッコラとも言う)の花です。


ロケットは繁殖力が強く(ハーブは大体そうだけど)、このロケットは去年の春に種をまいて大きくなった株が初夏に花をつけ、種を地面に落とし、その種が秋になって芽を出し成長してきたものなんです。


サラダに使えるハーブってけっこうありますが、使い勝手が良く、たくさん食べられるものとして、ボクはロケットが好きです。



そして、今日はボクが大好きな中島未月さんの本「心が晴れる はれ、ことば」(ゴマブックス)のご紹介です。
未月さんはこれまで、メルマガやブログで「心の空が青くなって元気になれる、晴れ言葉」を5行歌の形で届けてきてくれた方なんです。
で、今回、その「はれ、ことば」が本になったんです。ぜひ、読んでみてください。心が洗われて、元気になります。


じつは、ボクのメルマガ「元気を出前!」今週号で、彼女の「はれ、ことば」を紹介しています。こちら。 http://blog.mag2.com/m/log/0000126231


「心が晴れる はれ、ことば」発売キャンペーンも行っています。
詳しくはこちら。 http://www.tcct.zaq.ne.jp/hare/hare-campaign.htm


未月さんのブログ 心が晴れる「はれ、ことば」はこちら。
 http://hare-note.ameblo.jp/

花見川シリーズ番外編〜勝手占有する戦士たち〜⑤

anytime18teen2006-03-21


これまでは花見川の中流あたりの話でしたが、今回は東京湾近い下流での話。

他の河川でも問題になっているようですが、花見川でもボートの類の不法係留がけっこう見られます。
写真は14号と旧道の中間あたり。川の両側が高いコンクリート壁となっており、簡単には水辺に降りれない、だから、専用のハシゴまで設けてるんです。

まぁ、ボクは高所恐怖症なので、こんな不安定なハシゴでは船までたどり着けないと思います。その意味では、アンタたちは偉い!


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